INTERVIEW


とどまることのない愛

こんにちは、小松未歩です。今の気分は“果敢に攻める”という感じ! 夏に向かいますし、何かいいことが起こりそうな予感が、私を元気にさせてくれるのかもしれません。でもただ、待っていてもチャンスをつかめない気がして、「とどまることのない愛」を5月30日にリリースしました。変化・進化を繰り返しながら、とどまることなく成長していきたいものです。さっそく4枚目のアルバムからはガラっと雰囲気が変わった心模様を、このシングルでうまく表現できてたらいいなと思います。


夏!って感じの曲が出来ました。たとえば、キャンプ・ファイヤーやカーニバルのイメージ。野外で聴くと、絡みつく夏の風と一緒に、忘れられない一生の思い出が作れそうです。夜空に浮かぶMilky Wayだって配置を変える。宇宙のモノは“とどまることがない”んです。だから変化を恐れるなんて、きっと思い過ごし。つねに自分が思い描く大好きな自分を求めて生きていける素敵な時間をたくさん経験したいものです。時には悪態をついたり、弱音を吐いたりして愛する人を困らせてしまいますが、助けを借りながら前へ前へ進んでいこうと私は思います。


この世の中のすべてはとどまっていないんですよね、星にしても風にしても。当然、人の心も・・・。相手に合わせて成長したり、自分のために向上できたり、そんな風に果敢に攻めてみるのもいいかもしれないですよね。私自身も、日々表情を変える、とどまることのない愛や星や風に近づこうと、夢中で走ったり、ふと立ち止まってみたりと、試行錯誤をして忙しい毎日です。


小松:「とどまることのない愛」は、元々アレンジも済んで歌ったものが1コーラスだけあって。「次の曲どうしようかな?」って思った時、そういうテープを聴くことにしてるんですけど、この曲を聴いたときにスーッと何かが抜けてくれてちょっと元気になれたんです。アルバム制作が終わってちょっと疲れてたこともあったんだと思うんですけど(笑)、“聴いてて元気になる曲”が今の私には必要かなぁって。

―――元気になるんだけど、熱すぎず冷たすぎない適度な温度が楽曲にあって、それが気持ちいいですよね?

小松:「頑張って!」とか「ファイト!」とかっていう言葉を使わないでも元気になれる曲、がんばれる曲がいいなと思ってたからかな。ドン底でもないし、ものすごく元気でもない状態に持ちつ持たれつな関係があるといいかなぁって。


私の気持ちがそうさせるんだと思うのですが、今の自分だったら「頑張ってね」って言われると、突き放された風に感じると思うし、「大丈夫だよ」っていわれるほど落ち込んでもいない。悩みもあるけどそんなにしんどくはないっていう感じだったから、こういう曲を書いたんだと思います。


宇宙中にあるものは全てとどまっていなくて、つかまえないと逃げて行っちゃうらしいんです。その話を聞いてすごく共感できた。だって人の心は日々移ろうし、環境だって、景色だって、毎日違いますからね。なのに自分だけは“いつも同じ”では置いていかれちゃう。夜空を見上げると大熊座とかが今あるとしても、何100年後かには全く違う星の配置になっているんだなんて聞いたら、私の生活の変化なんて大したことじゃないなって思えるし。それにそんなに壮大でロマンティックな変化に付き合えることも素敵ですしね。もちろん私は、生きてその変化を見ることはありませんけど(笑)。


―――「とどまることのない」という言葉は意味がすぐわかるのに、意外に聞きなれない言葉で印象的でした。

小松:わざわざ言わない言葉ですよね。たまたま今、選挙なのでニュースを見てたら“とどまらない政局”って耳にしましたけど(笑)。何かしてくれそうな響きだなぁって。

変われることを喜びとしても、恐れないでいたいなって今は思います。そんな普段の生活の中から、この曲のテーマとしては、一番身近でわかりやすい“恋愛”を選んでみたんですけど、たぶん4月、5月から環境が新しくなって、まだ馴染めていない人もいると思いますが、そんな人にも心を開くきっかけとして、この曲が届いてくれると嬉しいですね。

glass

季節が変わるごとに、この曲の景色も変わってくるような仕上がりです。美しく壊れやすいグラスを通してみたふたりは、やっぱり危うくて脆くて、壊そうとしなくても勝手に壊れてしまう関係のようにも映ります。


“glass”って美しいものだけど、扱いが悪いとすぐ割れちゃうし、ちょっと欠けただけでも価値が下がった感じがする。それは愛情にも通じるような気がしたんですよね。すごく好きだったのに一瞬にして「あれ?」って冷めてしまったりって、よくある話だから。でも自分の想いだけは一般論として片付けたくはないという願望が詰まってます。


―――小松未歩さんは日常に転がっているけれど、さりげなくて気づかないようなことを詞の中のキーワードにされることが多いように思いますが、そういうところにアンテナを張っているんですか?

小松:性格なのかな? 意識しているわけではないのですが、理論的に階段を追って考えるタイプだったりするので、そんなところが詞に出てきているのかもしれません。何でこんなに楽しいんだろうとか、悲しいんだろうとか、時々さかのぼって考えたりしちゃうし。分析しながら、冷静に考えてる自分もいるんですね、きっと。


―――自分で自分を見つめることはよくされるんですか?

小松:そうですね。毎日じゃないですけど日記を書くので、そのときに自分の考えとかを無意識に整理してるようです。作詞のときと一緒で「こんなふうに想ってたんだ」って自分の言葉にビックリすることがよくあります。


いつも感じていることは,私は宇宙規模で考えると「ちっぽけな存在」であるということ。たぶんこれまでも作詞のあちこちにチラホラ出てきているかとは思いますが,死ぬほど辛いことがあったとしても,空から見たら蚊に刺されたぐらいの些細なことかもしれない。それならそんなところでつまづいてないで先へ進もうって思えるじゃないですか。だからって,苦しいことを見てみないフリするのではなくて,そう思えるならどんな困難にも立ち向かえるでしょ!って感じです。でも作品づくりは、結構、意識なくやっていることが多いので理由は後付ってことが多いですけど(笑)。

NAKED

ほんとに頑張ってほしいときに“頑張って”っていう言葉は嘘っぽいなぁと思って。異性同姓問わず、沈んだ気持ちを持ち直してもらえる曲として届いてくれると嬉しいですね。


―――「とどまることのない愛」と同様にこの曲も過剰な応援ソングじゃないぶん心に染み込みますね。

小松:元気をあげられるほどじゃないけど「どうしたらいいんだろうね?」って一緒に試行錯誤していることってあるじゃないですかぁ。そうしてるだけでも気が休まってきたり。


あまり深く考えずに、自分のありのままの気持ちを言葉に乗せてみた感じです。まあ、いつものことと言えばいつものことなんですけど(笑)。


みなさんには男性目線の曲だって言われるんですけど、自分の中で「NAKED」は、同性の女の子に向けての励ましの曲として作ってました。すごく落ち込んでる友達がいて、どうすればその子は元気になれるんだろうって歯がゆい思いを経験して...。自分自身で立ち上がれるまでは、どんな相談にも乗れるし、手助けだって出来る、私にできることは何でもしたいとは思ってるけど、本当に力になれてる?って。でも私がいくら励ましたとしても、きっと解決したことにはならないんだろうなぁということもわかってるから、また辛い。


―――「もう格好つけなくていい 全てをさらけ出せたら少し楽になれる」という詞について。

小松:さらけ出すということは無防備になるけど、反対に自分を守ってくれる武器になることもあると思うんです。自分が傷つくか、相手を傷つけるか、一か八かの微妙な行為ですよね。でも、そこにちゃんとした信頼関係が成り立っているなら、これほどわかり合える行動はないわけですし、さらけ出してくれたという安心感がうれしかったりもしますしね。すべてを受け止めるってことは、すごい責任ですから。


―――小松さんは友達の関係はそういう感じですか?

小松:うーん。そう言われてみると、私はあまり悩みを友達に打ち明けることはないですね。というか、あんまり悩まないかも(笑)。考えるよりはすぐ行動に移して、自分で解決しようとするタイプ。だから解決した後に「大変だったのよー」なんてよく報告してます(笑)。

SELF LINER NOTES

01.とどまることのない愛
80年代を意識したサウンドは不思議と気分をウキウギさせてくれます。日々移り変わる景色の中で自分に何ができるかを模索しながら成長という変化を楽しめたら最高ですよね。


02.glass
この関係が美しいのはあまりにも儚く脆いから?色褪せてゆく記憶は欠けたカケラを見つけ出せなかったせい?今となってはそれを知る由もありませんが、重いピアノの音色だけはこの痛みを優しく包み込んでくれているようです。


03.NAKED
作曲時のイメージは目の前に立ちはだかる灰色の高い壁という感じ。呪文のようなメロディーをリズミカルに歌うのに苦労しました。落ち込んでいる君を励ます言葉は「頑張って」じゃない気がして・・・。